世界を二分する古典的な軸
地政学には、100年以上使われてきた強力な対立軸があります。シーパワー(海洋国家)とランドパワー(大陸国家)です。前レッスンで学んだ「地理が戦略を形づくる」の、最も大きなスケールの例と言えます。
- ランドパワー(大陸国家):ユーラシア大陸の内側に広がる国。広大な陸地と、陸続きの多くの隣国を持ちます。力の重心は陸軍と、周辺を勢力圏(緩衝地帯)に収めることに向かいます
- シーパワー(海洋国家):海に開かれ、交易と海軍で力を築く国。島国や、海へのアクセスが良い国が典型です。力の重心は海軍と、海上交通路の確保に向かいます
歴史上の覇権争いの多くは、この海と陸のせめぎ合いとして描けます。大陸の大国が海へ出ようとし、海洋の大国がそれを封じ込めようとする——という構図が、時代と主役を変えて繰り返されてきました。歴史のアナロジーの一つの型でもあります。
シーレーンという生命線
海洋国家を理解する鍵がシーレーン(海上交通路)です。海に囲まれた国は本土を守りやすい反面、生活と経済を海上輸送に強く依存します。食料、エネルギー、原材料、製品——その多くが船で運ばれます。だから、その航路のどこかが封鎖されれば、経済も安全も一気に脅かされます。海洋国家が遠く離れた海峡の情勢に神経をとがらせ、海軍を展開し、貿易の相互依存を重んじるのは、このためです。
日本はまさに海洋国家であり、エネルギーの大半を輸入に頼るため、中東から東アジアへ至るシーレーンの安全は死活的な関心事です。この視点を持つと、日本が遠方の海の安全保障に関与するニュースの意味が読めてきます。
ニュースで使う視点
海軍の展開、海峡や運河をめぐる緊張、島や岩礁の領有権争い——これらは多くの場合、シーパワーとランドパワーの論理で読めます。「なぜこの国はこの海にこだわるのか」を、海と陸の力の視点から考えてみてください。次のレッスンでは、地政学のもう一つの主戦場——資源をめぐる争いを見ます。