経済学は「お金の学問」ではない
経済学と聞くと、株価やお金もうけの学問だと思われがちです。しかし経済学の本当のテーマは、もっと身近なところにあります。それは「限りある資源を、どう使うか」という問題です。
私たちの時間は1日24時間しかありません。お金にも、働ける人の数にも、石油や土地にも限りがあります。このように資源に限りがあることを、経済学では希少性と呼びます。希少性があるからこそ、私たちは常に「選択」を迫られます。
すべての選択にはコストがある
放課後に2時間あるとします。アルバイトをすれば3,000円稼げますが、その時間で資格の勉強をすることもできます。アルバイトを選んだとき、あなたは「勉強によって得られたはずの成果」をあきらめたことになります。
このように、ある選択をしたことであきらめた、次善の選択肢の価値を機会費用と呼びます。お金を1円も払っていなくても、選択には必ずコストがあるのです。これは経済学で最も重要な考え方のひとつです。
トレードオフ:あちらを立てればこちらが立たず
何かを得るためには、何かを手放さなければならない。この関係をトレードオフと呼びます。
- 働く時間を増やせば、収入は増えるが自由時間は減る
- 国が防衛費を増やせば、教育や福祉に回せる予算は減る
- 環境規制を強めれば、環境は守られるが企業のコストは増える
個人の生活から国の政策まで、トレードオフのない選択はほとんどありません。経済学は、このトレードオフを見えるようにし、「どちらを選ぶと何が起きるか」を筋道立てて考えるための道具箱なのです。
このコースで学ぶこと
次のレッスンからは、市場で価格が決まる仕組み(需要と供給)、物価の変動(インフレとデフレ)、国の経済の大きさ(GDP)、そして政府と中央銀行の役割(金融政策と財政政策)を順番に見ていきます。ニュースで毎日流れる経済の話題が、ぐっと立体的に見えてくるはずです。