「国権の最高機関」の意味
政治と法入門で三権分立を学びました。ここからは、その原理が日本で具体的にどう動いているかを見ていきます。まずは立法を担う国会です。
憲法は国会を「国権の最高機関」と呼びます。なぜ最高なのか。答えは民主主義の根っこにあります。三権(立法・行政・司法)のうち、主権者である国民が選挙で直接選ぶのは国会議員だけです。内閣総理大臣も裁判官も、国民が直接投票して選ぶわけではありません。国民の意思に最も近い機関だからこそ、国会は特別な位置を与えられているのです。
国会の3つの仕事
国会が実際に何をしているかは、大きく3つに整理できます。
- 法律をつくる(立法):社会のルールである法律は、国会だけが制定できます。内閣や省庁が法案を準備しても、成立させるのは国会です
- 予算を決める:国がどこに・いくら使うかを議決します。「予算委員会」が政治の主戦場になるのはこのためで、実際にはお金の話にとどまらず幅広い論戦の場になります
- 行政を監視する:内閣が正しく仕事をしているかをチェックします。国政調査権や質疑を通じて行政に説明を求めるのも、国会の重要な役割です
なぜ院が2つあるのか
日本の国会は衆議院と参議院の二院制です。同じことを二度議論するのは無駄に見えるかもしれませんが、これは意図された慎重さです。性格の異なる二つの院に二度審議させることで、一時的な多数の勢いや、一つの院の見落としを抑えます。任期や解散の有無が違うため、選挙のタイミングもずれ、異なる時期の民意が反映されます。ただし両院の意思が食い違うと決められない「ねじれ」も生じ、そのときの調整ルール(衆議院の優越など)も憲法は定めています。
ニュースで使う視点
「法案が可決」「予算が成立」「国会で追及」というニュースは、この3つの仕事のどれかが動いている場面です。どの院で、どの段階(委員会か本会議か)にあるのかを意識すると、政治ニュースの進行が立体的に見えます。次のレッスンでは、その国会と一体で動く内閣と行政を見ます。