「知を愛する」という営み
哲学は英語で philosophy。語源はギリシャ語の philosophia(フィロソフィア)で、「知を愛すること」を意味します。philein(愛する)と sophia(知恵)の組み合わせです。
この語源には大切な含みがあります。哲学者とは「すでに知っている人」ではなく、「知らないことを自覚し、それでも知ろうとし続ける人」だということです。
哲学は何をする学問か
物理学は物質の運動を、生物学は生命の仕組みを調べます。では哲学は何を調べるのでしょうか。
哲学の特徴は、対象よりも問い方にあります。ほかの学問が何かの前提の上で研究を進めるのに対し、哲学はその前提そのものを掘り下げます。
- 科学は世界を観測する。哲学は「そもそも『知る』とはどういうことか」と問う
- 法律は正義を運用する。哲学は「そもそも正義とは何か」と問う
- 医学は生命を救う。哲学は「そもそも良い生とは何か」と問う
つまり哲学は、あらゆる学問や日常の足元にある「当たり前」を疑い、点検する営みです。
答えが出ないのに、なぜ考えるのか
「哲学の問いには答えがない。だから無意味だ」という意見があります。しかし、考えてみてください。「どう生きるべきか」「何が正しいのか」という問いに最終的な正解がないとしても、私たちは日々、この問いに暗黙のうちに答えながら生きています。
哲学を学ぶとは、無自覚に採用している答えを、いったん目の前に取り出して吟味することです。吟味した結果、同じ答えに戻ってきてもかまいません。それはもう「なんとなくの答え」ではなく「選び直した答え」になっています。
問いを磨く技術
このコースでは、哲学を「問いを磨く技術」として学びます。ソクラテスの問答法、「知るとは何か」を問う認識論、「正しさとは何か」を問う倫理学、そして現代哲学の風景。2500年にわたって磨かれてきた問いの数々は、現代を生きる私たちの思考の道具にもなるはずです。