科学は「知識の集まり」ではなく「手続き」
科学と聞くと、教科書に載っている法則や元素記号を思い浮かべるかもしれません。しかし科学の本体は、知識のリストではなく、信頼できる知識を作り出すための手続きにあります。
その手続きは、おおよそこの循環で表せます。
- 観察:世界の中に不思議やパターンを見つける
- 仮説:それを説明するアイデアを立てる
- 予測:仮説が正しければ何が観察されるはずかを導く
- 検証:実験や観測で予測を確かめる
- 修正:結果が合わなければ仮説を直すか捨てる
大切なのは5番です。科学は間違えます。ただし、間違いを見つけて修正する仕組みが組み込まれている。これが科学の最大の強みです。
反証可能性:科学と非科学の境界線
「どんな主張なら科学的なのか」。科学哲学者カール・ポパーは、反証可能性という基準を提案しました。
反証可能とは、「もしこういう観察結果が出たら、この主張は間違いだ」と言える条件が明確だということです。
- 「すべての白鳥は白い」→ 黒い白鳥が1羽見つかれば崩れる。反証可能
- 「あなたの運勢は良くも悪くもなる」→ どんな結果でも当たったことにできる。反証不可能
反証不可能な主張は、間違いを指摘しようがないため、修正の循環に乗せられません。「絶対に外れない予言」は、科学の観点では最も価値の低い予言なのです。
「まだ分からない」と言える誠実さ
科学的な態度とは、白黒を即断することではありません。証拠が足りないときに「現時点では分からない」と言えること、そして新しい証拠が出たら結論を変える用意があることです。
ニュースやSNSでは「断言する人」が頼もしく見えます。しかし、複雑な問題に単純明快な断言をする人ほど、疑ってかかる価値があります。このコースでは、この「科学の作法」を道具として、データやニュースを読み解く力を鍛えていきます。