その2つ、本当に「原因と結果」?
「アイスクリームの売上が増える月は、水難事故も増える」。これは実際に観察できるパターンです。ではアイスを禁止すれば水難事故は減るでしょうか?
もちろん減りません。両方を増やしている本当の原因は夏の暑さです。気温が上がるとアイスが売れ、同時に海やプールに行く人が増えて事故も増える。アイスと事故は一緒に動いている(相関がある)だけで、一方が他方を引き起こしている(因果がある)わけではないのです。
相関から因果を言えない3つの理由
2つの出来事AとBに相関が見つかったとき、考えられる説明は1つではありません。
- AがBの原因:本当に因果がある
- BがAの原因:因果の向きが逆
- CがAとBの両方の原因:第三の要因(交絡因子)が隠れている
- ただの偶然:データを探せば無関係な相関はいくらでも見つかる
「朝食を食べる子は成績が良い」という有名な話も、朝食そのものの効果なのか、規則正しい生活習慣や家庭のサポートという交絡因子のせいなのか、相関だけからは区別できません。
因果に迫る方法:比べ方を工夫する
では、因果関係はどうすれば確かめられるのでしょうか。鍵は「それ以外の条件をそろえて比べる」ことです。
最も信頼性が高いとされるのがランダム化比較試験(RCT)です。参加者をくじ引きで2つのグループに分け、一方にだけ介入(新薬など)を行い、結果を比較します。ランダムに分けることで、年齢も生活習慣もやる気も、平均的には両群で同じになる。だから結果の差は介入のせいだと言えるのです。新薬の承認にこの方法が必須とされるのは、それだけ因果の証明が難しいからです。
ニュースを読むときのチェックリスト
「○○する人は△△になりやすい」という見出しを見たら、3つ問いかけてみてください。
- これは相関の話か、因果の話か?
- 逆向きの因果はありえないか?
- 両方を説明する第三の要因はないか?
この3つの問いだけで、健康情報や教育論のかなりの部分を、一歩引いて眺められるようになります。