冷たい言い方に聞こえるかもしれませんが、人との「つながり」も、お金や土地と同じ資本の一種です。東北大学と慶應義塾大学のチームは、4〜87歳の日本人2574人を調べ、信頼に基づくつながり——ソーシャルキャピタル——が、豊かな層と乏しい層の「二つの山」にくっきり分かれていることを見つけました。しかもこの二極化は、子どもでも大人でも、世代を問わず同じ形で現れたのです。
面白いのは、その差を分けていたものです。収入でも学歴でもなく、共感力や外向性といった心の特性、そして幼少期に親とどんな関係を築いたか——それが決定的でした。つながりの多い人は、脳の神経ネットワークの結ばれ方や、相手の気持ちを読む領域(角回・楔前部など)の構造にも違いが見られ、幸福感そのものも高い傾向がありました。
ここで持ち帰ってほしい読み方が一つあります。何かが「ふたこぶ」に分かれていたら、平均を見てはいけない、ということです。「日本人の平均的なつながりの量」を計算しても、そこには誰もいません。実際にあるのは、豊かな山と乏しい山、そして二つを隔てる要因だけ。これは所得の格差でも学歴でも同じで、平均が隠してしまう分断を、二つの山として見直すと正体が見えてきます。
だからこの研究は、孤独や孤立を「その人の性格の問題」で片づけません。つながりが心の特性や生い立ちに根ざして偏るなら、それは配り直しうる資本の格差であり、社会の側から手を打てる課題だ——そう読み替えるための、静かな土台になっています。