冷凍食品大手のニチレイが7月13日にシステム障害に見舞われ、商品の出荷が一時止まりました。原因はサイバー攻撃で、7月21日以降、「RansomHouse」と名乗るランサムウェア集団が犯行声明を出します。個人情報が保管されたサーバーの一部も被害を受け、同社は個人データの漏えいの可能性として、個人情報保護委員会へ報告済みだといいます。
こうしたニュースを読むとき、つい「どんな秘密が盗まれたのか」に目が行きます。でも、サイバー攻撃の正体を掴む問いは別のところにあります。なぜ、ここが狙われたのか。ランサムウェアは、システムを壊して満足する愉快犯ではありません。身代金という収益で動く、きわめて合理的な「商売」です。だとすれば標的に選ばれるのは、秘密を抱えた企業よりも、止まると困る企業。物流や食品のように、1日の停止がそのまま損失に直結する現場ほど、「早く払って再開したい」という動機が強くなります。
RansomHouse のような集団が使う「二重恐喝」も、この儲けの論理から生まれました。かつては、データを暗号化して使えなくし「戻してほしければ払え」と迫るのが基本でした。ところが企業がバックアップを持つようになると、この脅しは効きにくくなります。そこで攻撃者は、暗号化に加えて盗んだデータを暴露すると脅す二段構えに進化しました。バックアップがあっても、「公開されたくなければ払え」ともう一度脅せるわけです。
ここから持ち帰れる読み方は、こうです。サイバー被害のニュースに出会ったら、「何を盗まれたか」の前に「なぜここが標的か=止まると誰がいくら困るか」を問う。攻撃は感情ではなく損得で動く、と分かると、次にどの業界が狙われやすいかまで、少し見通せるようになります。