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なぜ「改ざんできない」のか

読了目安 5/灯る概念:

「改ざんできない」の、本当の意味

ブロックチェーンは、しばしば「改ざんできない記録」として語られます。一度記録されたことは、後から書き換えたり、なかったことにしたりできない、と。前レッスンで見た「中心なき信頼」が成り立つのは、この「改ざんできない」性質が支えているからです。しかし、なぜ、そんなことが可能なのでしょうか。中心的な管理者がいないのに、どうやって記録を守るのでしょうか。その秘密は、「ブロックチェーン」という名前そのものに、隠されています。ここには、前に学んだ暗号技術が、巧みに使われています。

ブロック(塊)を、チェーン(鎖)でつなぐ

「ブロックチェーン」という名前は、その記録の構造を、そのまま表しています。

  • ブロック:一定の取引の記録を、一つの「まとまり(ブロック)」にする
  • チェーン:そのブロックを、時間順に、「鎖(チェーン)」のように、つなげていく

新しい取引が積み重なると、それが新しいブロックになり、鎖の先端に、次々と追加されていきます。ここまでは、単なる記録の並びに見えます。しかし、この鎖のつなぎ方に、改ざんを防ぐ、巧妙な仕掛けがあります。それは、各ブロックが、一つ前のブロックの情報を含んでいる、ということです。

暗号技術を使って、各ブロックには、前のブロックの内容を「要約した情報」が、埋め込まれています。つまり、ブロックは、前のブロックと、しっかり結びついている。この結びつきが、鎖(チェーン)の正体です。

なぜ、書き換えると露見するのか

この「鎖状につながっている」構造が、なぜ改ざんを防ぐのでしょうか。考えてみましょう。もし、誰かが、鎖の途中にあるブロックの記録を、こっそり書き換えようとしたら、どうなるでしょうか。

  • あるブロックの中身を書き換える
  • すると、そのブロックの「要約した情報」が、変わってしまう
  • 次のブロックは、書き換え前の「要約」を含んでいるので、つながりが食い違う
  • さらに、その次も、その次も……それ以降のブロックすべてと、つながりが合わなくなる

つまり、鎖の途中を一箇所書き換えると、それ以降のすべてのブロックが、食い違ってしまうのです。だから、改ざんは、すぐに露見します。一箇所だけをこっそり変える、ということが、できない構造なのです。改ざんを成功させるには、その後に続くすべてのブロックを、まとめて作り直さねばなりません。これは、膨大な作業になります。

改ざんを、事実上不可能にする組み合わせ

「鎖状の構造」だけでも改ざんは困難ですが、ブロックチェーンは、さらに複数の仕組みを組み合わせることで、改ざんを、事実上不可能に近づけています。

  • 鎖状のつながり:前述の通り、一部を変えると、後がすべて食い違う
  • 多数への分散:前レッスンで見たように、記録は、多数の参加者に共有されています。だから、改ざんするには、全員の台帳を、同時に書き換えねばならない。一人や少数の台帳を変えても、大多数と食い違えば、不正だとバレます
  • 暗号技術:全体が、暗号技術で守られており、偽造が極めて困難です

これらが組み合わさることで、改ざんは、理論的には可能でも、現実的には、天文学的なコストと労力を要する——つまり、事実上不可能になります。これが、「中心的な管理者がいなくても、記録を信頼できる」ことの、技術的な裏づけです。特定の誰かを信頼する代わりに、この巧妙な仕組みを信頼する。ブロックチェーンは、暗号と、鎖状の構造と、分散を組み合わせることで、「信頼できる中心」の役割を、技術で置き換えたのです。

「絶対安全」ではないことも、知っておく

ただし、冷静な理解のために、付け加えておきます。「改ざんできない」というのは、記録そのものの改ざんについてです。ブロックチェーンを使った仕組み全体が、あらゆる意味で「絶対に安全」というわけでは、ありません。記録に入れる前の情報が間違っていたり、利用者の鍵が盗まれたり、周辺のサービスに欠陥があったりすれば、問題は起こりえます。技術の「どこが」強くて「どこが」弱いのかを、正確に見極めることが、技術リテラシーとして大切です。「改ざんできない」という言葉を、万能の魔法のように受け取らないことが、賢い理解なのです。

ニュースで使う視点

ブロックチェーン、暗号資産、記録の改ざん防止に関するニュースに触れるときは、「鎖状の構造・分散・暗号の組み合わせで、記録の改ざんが困難になっている」という仕組みを思い出してみてください。同時に、「改ざんできないのは記録であって、仕組み全体が絶対安全とは限らない」という冷静な視点も忘れずに。次のレッスンでは、この技術の最も有名な応用——暗号資産の実際を見ます。

理解度チェック

全問回答でレッスン完了・概念が灯ります
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Q1ブロックチェーンという名前が示す、記録の構造として最も適切なものはどれですか?
Q2ブロックチェーンの記録の改ざんが極めて困難とされる理由の組み合わせとして、最も適切なものはどれですか?

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