アズリテ
システム思考入門・ レッスン 2 / 4
自然科学 / 科学の考え方

フィードバックループ

読了目安 4/灯る概念:

システムを動かす、循環の力

前レッスンで、システムには「影響が一周して戻ってくるループ」があると述べました。このフィードバックループこそ、システムを動かす心臓部です。原因が結果を生み、その結果がまた原因に戻って作用する——この循環を理解すると、なぜシステムが急成長したり、突然崩壊したり、あるいは頑固に安定したりするのかが、見えてきます。フィードバックには、大きく二つの種類があります。

正のフィードバック——増幅する循環

一つ目は、正のフィードバック(自己強化ループ)です。「正」といっても「良い」という意味ではありません。変化が、さらなる変化を呼ぶという意味です。結果が原因をいっそう強める方向に戻り、変化がどんどん増幅されていきます。

  • 富が富を生む:お金がある人は投資でさらにお金を増やせる。格差が格差を広げる
  • 噂が噂を呼ぶ:ある情報が広まるほど、それを目にする人が増え、さらに広まる。SNSでの拡散バブルがこれです
  • 感染の広がり:指数的な増加の多くは、正のフィードバックの産物です

正のフィードバックは、急成長や急拡大を生む一方で、暴走の源でもあります。増幅が止まらなければ、システムは爆発的に成長するか、あるいは一気に崩壊します。良い方向にも悪い方向にも、事態を加速させるのが、このループです。

負のフィードバック——安定させる循環

二つ目は、負のフィードバック(バランス型ループ)です。こちらは、変化を打ち消す方向に働きます。目標や均衡からのずれを検知して、それを元に戻そうとする。

  • エアコン:室温が設定より上がれば冷やし、下がれば止める。結果として、室温は一定に保たれます
  • 体温の調節:体が暑くなれば汗をかいて冷やす。寒くなれば震えて熱を生む
  • 市場の需給:価格が上がれば需要が減り供給が増え、価格は落ち着く方向へ

負のフィードバックは、システムに安定をもたらします。世の中の「なぜか、いつも一定に保たれている」ものの多くは、背後にこのバランス型ループが働いています。逆に言えば、何かを変えようとしても頑固に元に戻ってしまうとき、そこには強い負のフィードバックがあるのです。

ループが、振る舞いを決める

システムの全体的な振る舞いは、これらのループの組み合わせで決まります。

  • 正のフィードバックが優勢なら、システムは成長か崩壊へ向かう(暴走)
  • 負のフィードバックが優勢なら、システムは安定する(均衡)
  • 両者が絡み合い、時間の遅れがあると、システムは振動する(上がりすぎては下がり、下がりすぎては上がる——景気循環のように)

重要なのは、これらのループには、しばしば時間の遅れが伴うことです。原因と結果の間に時間差があると、私たちはつながりを見誤ります。「対策したのに効果が出ない」と焦って過剰に手を打ち、遅れて効果が出たときには、やりすぎになっている——これは、遅れのあるフィードバックを読めないことから来る、よくある失敗です。

ニュースで使う視点

経済の過熱や暴落、格差の拡大、感染症の広がり、環境の変化——こうしたニュースを読むときは、「ここにどんなフィードバックループがあるか」「増幅する循環か、安定させる循環か」「時間の遅れはないか」を考えてみてください。ループを見抜くと、事態が今後どう展開しそうかが読めてきます。次のレッスンでは、システムを測る基本——ストックとフローを見ます。

理解度チェック

全問回答でレッスン完了・概念が灯ります
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Q1「正のフィードバック(自己強化ループ)」の説明として、最も適切なものはどれですか?
Q2「負のフィードバック(バランス型ループ)」が果たす役割として、最も適切なものはどれですか?