宇宙探査のニュースは「すごい」で消費されがちですが、教養として読むなら、なぜその天体をめざすのかという目的から逆算すると、一つひとつの探査が太陽系の物語のどこに位置するかが見えてきます。
「はやぶさ2」は、2020年に小惑星リュウグウの試料を地球へ届けた探査機です。ふつうならそこで任務は終わり。けれど機体はまだ動く——だから運用を延長し、次の小惑星「トリフネ」をめざしました(宇宙開発の歴史と現在)。今回はそのトリフネへの最接近(フライバイ)で、カメラや赤外の機器を使って画像や観測データを取得しました。着陸や試料採取ではなく、通り過ぎながら観測する探査です。
では、なぜ小惑星なのか。ここで効くのが太陽系の見取り図です(太陽系の姿)。惑星は、無数の小さな天体が衝突・合体して育ちました。小惑星は、その途中で惑星になりきれずに残った「材料」に近い。大きな惑星は内部が熱で変質してしまいますが、小天体には太陽系ができた頃の情報が比較的そのまま残っていると考えられます。だから小惑星を調べることは、46億年前に何があったかを読む作業になります。
読み解きの型はこうです。探査のニュースは、「どの天体を・なぜ選んだか」で読む。派手な数字や映像の裏に、太陽系の起源をめぐる問いがある。一機の探査機が主任務のあとも働き続け、次の問いへ向かう——その延長線に、私たちの太陽系の来歴を少しずつ埋めていく地道な作業が続いています。