国の経済の「ものさし」
「日本のGDPは約600兆円」「今四半期のGDP成長率は年率1.2%」。ニュースで頻繁に登場するGDPは、国の経済活動の大きさを測る最も代表的なものさしです。
GDP(国内総生産)とは、一定期間(通常1年や四半期)に、国内で新しく生み出されたモノやサービスの付加価値の合計です。
「付加価値」とは何か
パン屋が小麦粉を100円で仕入れ、パンを300円で売ったとします。このときパン屋が生み出した付加価値は300円ではなく、仕入れ分を引いた200円です。GDPはこの付加価値を国全体で足し合わせたものです。売上をそのまま足すと、小麦粉の分が二重に数えられてしまうからです。
ポイントは3つあります。
- 国内で:日本企業でも海外工場での生産は日本のGDPに入らない
- 新しく生み出された:中古品の売買や土地の転売そのものは含まれない
- 一定期間に:GDPは「量の蓄積」ではなく「期間中の流れ」を測る
名目と実質:物価のマジックに注意
GDPには名目GDPと実質GDPの2種類があります。名目GDPはその時々の価格で計算するため、生産量が同じでも物価が上がれば増えてしまいます。そこで物価変動の影響を取り除いたのが実質GDPです。
「経済が成長した」と言えるのは、実質GDPが増えたときです。経済成長率という言葉は、通常この実質GDPの伸び率を指します。
GDPが測れないもの
GDPは便利な指標ですが、万能ではありません。
- 家事、育児、ボランティアなど市場で取引されない活動は含まれない
- 環境破壊や資源の枯渇はマイナスとして計上されない
- 所得の格差や、人々の幸福度は分からない
だからこそ近年は、幸福度指標や環境指標など、GDPを補う「新しいものさし」の議論も活発です。GDPは経済の重要な一面を映す鏡ですが、すべてを映す鏡ではない。この距離感を持って数字を読めると、ニュースの理解が一段深まります。