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ニュース2026年9月15日

富士通、ダイヤモンドの中の電子で動く量子コンピュータを試作——「つなげる」量子ビットへの一歩

3 行サマリ
  • 富士通は、ダイヤモンド結晶中の格子欠陥に生じる電子スピン・核スピンを量子ビットとして
  • 使う「ダイヤモンドスピン方式」量子コンピュータのプロトタイプを開発したと発表した。
  • 従来主流だったNV(窒素-空孔)センターではなく、SnV(スズ-空孔)センターをチップ上に
  • 集積した方式は世界初とされ、光による量子状態の伝送に対応する。2027年には複数の
  • 量子モジュールをつないだプロトタイプの開発を目指すという。

このニュースを読むための教養

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なぜ量子は、特別なのか
重ね合わせなど、量子の世界特有の性質を先に押さえておくと、『量子ビット』が何を利用した部品なのかが分かる・約 5 分
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量子コンピュータとは何か
量子コンピュータが『何でも速い万能機』ではなく発展途上の技術だという前提を先に持っておくと、この発表の位置づけを見誤らない・約 5 分
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教養の視点

「量子コンピュータ」と聞くと、"従来のコンピュータでは何万年もかかる計算を一瞬で"というような、派手な見出しを思い浮かべるかもしれません。しかし今回の富士通の発表は、そういった話ではありません。量子ビットを、どうやって「つなげて」大きくするかという、地味だけれど本丸に近い課題への一歩です。

量子コンピュータの計算単位である量子ビットは、重ね合わせによって0と1を同時に扱えるという性質を持っています。ただし、この性質はとても壊れやすく、実用的な計算をするには、量子ビットの数を増やし、それらを正確に連携させる必要があります。今回富士通が試作したのは、ダイヤモンド結晶の中にわずかな不純物(格子欠陥)を作り、そこに生じる電子や原子核の「スピン」という性質を、量子ビットとして利用する方式です。従来はNV(窒素-空孔)センターと呼ばれる欠陥が主流でしたが、今回はSnV(スズ-空孔)センターという別の欠陥をチップ上に集積した、世界初の試みだといいます。

この方式のポイントは、光を使って量子状態をやり取りできることです。量子ビットを1つのチップにひたすら詰め込むのではなく、複数のモジュールを光でつなぎ、全体として大きな量子コンピュータに育てていく——そんな道筋が描かれています。富士通は2027年に、複数の量子モジュールからなるプロトタイプの開発を目指すとしています。

量子コンピュータは、あらゆる計算が速くなる万能の魔法の機械ではありません。素因数分解や分子のシミュレーションなど、得意な問題がある一方、量子状態の壊れやすさという大きな壁も残っています。量子技術のニュースに触れるときは、「これは、どの課題に挑んだ、どの段階の成果か」を問うてみてください。派手な見出しの奥にある地道な工学の積み重ねこそが、この技術が実用に近づく道のりだからです。

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