9月24日、トランプ米大統領と習近平国家主席がホワイトハウスで会談しました。議題はAIと安全保障。関税をめぐる貿易の「休戦」は、会談に先立ち、期限を2カ月延長することで合意済みと伝えられています。記事から分かるのは、主にこのあたりまでです。
ここで一つ不思議に思うのが、「休戦」に期限がある点です。どうせなら一気に恒久的な合意にすればいいのに、と思いますよね。ゲーム理論の目で見ると、そうしない理由が見えてきます。囚人のジレンマでは、互いに関税を上げ合うのは、個々には合理的な選択なのに、双方が損をする構造でした。一回きりの関係なら、この罠から抜けるのは難しい。ところが、関係が繰り返されると話が変わります。今回の休戦で裏切れば、次の延長交渉で信頼を失う。期限があるから、「次も協力するか」を確かめ合う場が定期的に生まれ、その都度、協力を続ける理由がつくり直されるわけです。期限つきの休戦は、頼りないようでいて、協力の条件(繰り返し)を人工的につくる仕組みとも読めます。
もう一つの議題、AIも同じ目で見えます。AIのルールを誰が決めるかは、企業や一国の中だけでは完結しません。一国が慎重に規制しても、他国で開発が進めば、リスクは消えないからです。ニュースを見るたびに「合意した?」と結果だけを追いがちですが、それだけだと大事なところを見落とします。次にこの手の首脳会談を読むときは、「この関係は、また会う前提か」「約束が守られているか、互いに見えるか」を問うてみてください。この二つを持っておくと、休戦、条約、企業間の協定まで、同じ見方で読めるようになります。