28日の東京株式市場で、日経平均株価は朝方に大きく値上がりし、一時は8月18日以来およそ1カ月半ぶりに6万7000円台に乗せました。きっかけは、前の週末の米国市場で半導体関連株が値上がりしたことです。ソフトバンクグループなど、日本のAI・半導体関連株にも買いが広がりました。ところが終値では、前日比486円安の6万5877円62銭まで下げて取引を終えています。
朝と夕方でこれほど姿が変わったのはなぜでしょうか。まず値上がりの理由は、グローバル化という視点で読むと分かりやすくなります。モノだけでなくカネも国境を越えて動く時代、米国市場での半導体株高という出来事は、太平洋の向こうの日本の株価にもほぼ即座に伝わります。世界の株式市場は、もはや別々の池ではなく、水路でつながった一つの水面のようなものです。
一方、値上がりしたあとに反落した理由は、リスクとリターンの枠組みが手がかりになります。株価が上がった局面では、含み益を抱えた投資家の中に「今のうちに利益を確定させたい」と考える人が増えます。これが「利益確定売り」で、買いが一巡すると売りが優勢になり、株価は反転しやすくなります。上がった株がそのまま上がり続けるとは限らない、というリスクとリターンの基本が、同じ日のうちに姿を見せた形です。
一つのニュースで株価が「上がった理由」と「下がった理由」の両方が語られるとき、それぞれ別の力が働いていると捉えると、値動きのニュースが感情的な乱高下ではなく、筋の通った現象として読めるようになります。