厚生労働省が9月3日に公表したところによると、2026年度の地域別最低賃金は全国加重平均で1,177円となり、前年度から56円引き上げられました。10月1日から12月2日にかけて、都道府県ごとに順次適用されます。
最低賃金は、放っておけば労働市場の需要と供給だけで決まってしまう賃金に、国が「これより低くしてはいけない」という下限を政策として設ける仕組みです。労働市場では、企業(需要側)が支払ってもよい額と、働き手(供給側)が納得できる額のせめぎ合いで賃金が決まりますが、交渉力の弱い立場の働き手は、市場任せでは生活を支えられない水準に押し下げられることがあります。最低賃金は、そこに人為的な床を張る政策なのです。
金額は全国一律ではなく、東京の1,280円から宮崎の1,085円まで、都道府県ごとに差があります。この差(最高額に対する最低額の比率)は84.8%で、12年連続で縮小しているといいます。地域の経済実態に応じてランク分けされる一方、地域間の格差そのものは徐々に縮む方向に動いているわけです。
ただし、金額が上がった「額面」だけを見て喜ぶのは早計です。賃金はなぜ上がりにくいかで扱われるように、暮らしが本当に楽になったかどうかは、物価上昇率と比べた実質的な伸びで判断する必要があります。引き上げ額のニュースに出会ったら、「名目でいくら増えたか」だけでなく「実質でどうか」を確認する癖をつけておくと、家計への影響をより正確につかめます。