「どうして自分の待遇は、正社員と違うのですか」——2026年10月1日から、パートや有期雇用で働く人はこの問いを会社に堂々とぶつけられるようになりました。新しく雇い入れる際、会社は「待遇の相違について説明を求めることができる」旨を、労働条件通知書に明記しなければならなくなったからです。求めがあれば、会社は待遇差の内容と理由を説明する義務を負います。
この制度が手当てしているのは、情報の非対称性という問題です。なぜ手当が正社員にはあってパートにはないのか、なぜボーナスの算定基準が違うのか——その理由を握っているのは会社側で、働く側からは見えにくいままでした。情報を持つ側と持たない側が分かれると、持たない側は不満があっても納得できる形で確認する手段がありません。今回の改正は、説明を「求める権利」を明文化することで、この非対称を少しだけ埋めようとする試みです。
ただし注意したいのは、この権利は説明を義務づけるものであり、待遇差そのものを撤廃する権利ではありません。労働市場では、雇用形態によって賃金や待遇に差がつくことは珍しくなく、今回の改正もその差を「なくす」のではなく「見える」ようにする一歩だという点を、押さえておきたいところです。