「39年半ぶりの円安」という見出しは、水準の異常さを強調します。しかし数字の大きさそのものより、なぜ円が売られるのかという仕組みを押さえると、この手のニュースは落ち着いて読めます。
為替レートは、二国の通貨の交換比率です(為替レートを読む)。円安ドル高とは「円を売ってドルを買う」動きが優勢な状態を指します。では、なぜいま円が売られるのか。最大の説明変数は日米の金利差です(金利を読み分ける)。金利の高い通貨で運用したほうが利回りを得られるため、低金利の円を売って高金利のドルを買う流れが生まれます。米国のインフレ懸念から利上げ観測が強まれば、金利差はさらに開き、円安が進みます。
ここで登場するのが為替介入です。政府・日銀が円を買ってドルを売り、行き過ぎた円安の速度を和らげようとします(中央銀行の政策手段)。ただし介入は水準そのものを反転させる万能薬ではありません。金利差という根っこが残る限り、円安圧力は続きます。市場が「164〜165円」といった介入ラインを探るのは、この綱引きを見ているからです。
読み解きのコツは、「何円か」ではなく「なぜその方向に動くか」を金利差から捉えること。1986年当時はプラザ合意でドル高是正へ動いていた時期で、いまとは逆向きでした。同じ「162円」でも、背後の力学を読めば意味はまったく違います。