「GDP、年率1.1%増」という数字だけを見れば、まずまずの成長に見えます。ところが今回は、市場の反応がほとんどなかったという点のほうが興味深いところです。内閣府が発表した4〜6月期の実質GDP速報値は、前期比0.3%増・年率換算で1.1%増。民間予測の中心値だった2.2%増を大きく下回ったにもかかわらず、株価も為替もほとんど動じませんでした。
なぜ「予想外れ」なのに市場が反応しなかったのか。答えはヘッドラインの数字ではなく、GDPの内訳にあります。今回の成長を支えたのは内需ではなく外需でした。内需の寄与度はマイナス0.2ポイントと3四半期ぶりのマイナス、対して外需はプラス0.5ポイント――しかもその主因は輸出の伸びではなく、輸入の減少です。輸入が減ると計算上はGDPを押し上げますが、これは「海外から買うモノが減った」というだけの話で、必ずしも国内経済の勢いを示すものではありません。
さらに、個人消費は前期比0.02%減と8四半期ぶりのマイナスに転じました。たばこの値上げや授業料無償化といった制度要因も影響していますが、家計の消費が力強さを欠いていることに変わりはありません。
市場が動じなかったのは、こうした内訳をすでにある程度織り込んでいたか、あるいは「一つの成長率」より「どこが伸び、どこが落ちたか」を見ていたからでしょう。GDPのニュースを読むときは、年率○%という見出しの数字だけで一喜一憂せず、内需・外需・個人消費といった内訳まで分解して見る癖をつけると、同じ「予想外れ」でも中身がまったく違うことに気づけるようになります。