「路線価が過去最大の上昇」という見出しは、一見すると景気の良い話に読めます。しかし数字を額面どおり受け取る前に、二つの物差しを当てるのが読み解きのコツです。
まず路線価とは何か。国税庁が毎年公表する、道路に面した土地の1平方メートルあたりの評価額で、相続税や贈与税を計算する基準になります(税とは何か)。つまり「地価が上がった」は、多くの人にとって「相続時の税負担が増えうる」と裏表です。ニュースの主語は資産価値であると同時に、税でもあります。
次に、なぜ上がるのか。土地の価格も、突き詰めれば需要と供給で決まります(家賃と住宅価格は、どう決まるか)。都市部の再開発で「その場所を使いたい」需要が増え、供給は簡単には増えない——だから駅前や観光地で伸びが目立ちます。スキーリゾートの急騰は、訪日客という新しい需要が上乗せされた結果です。
最後の物差しがインフレです(インフレとデフレ)。物価全体が上がっている局面では、地価の「2.9%上昇」のうち一部は貨幣の目減り分にすぎません。名目の値上がりと、実質の価値上昇を分けて読む——これは税収ニュースで使った作法と同じで、土地にもそのまま効きます。