「税収が過去最高」という見出しは、つい「国が豊かになった」「景気がいい」と読みたくなります。しかしこのニュースの面白さは、その直感を疑うところから始まります。
まず税収増の中身です。記事が挙げる要因は、賃上げによる給与所得の増加、AI関連を中心とする企業収益の好調、そして物価上昇に伴う消費額の膨張の3つ。税の仕組みを知っていると、この3つがそれぞれ所得税(19.1%増)・法人税(21.4%増)・消費税(4.0%増)という基幹三税の増加に対応していることが読み取れます。
注目したいのは3つ目の要因です。消費税は「支払った金額」にかかるため、インフレで物価が上がれば、同じ量の買い物でも税収は自動的に増えます。所得税も、賃金が物価に追いつく過程で名目所得が増えれば膨らみます。つまり「6年連続過去最高」の少なくとも一部は、経済の実力ではなく物価という物差しの伸びを映したものです。「金額(名目)」と「実質」を分けて読む——これは賃金のニュースとまったく同じ作法です。
もう一つの読みどころは「国債発行額を3兆円圧縮」という一文。過去最高の税収でもなお、国の予算は借金なしには組めません。「圧縮」という言葉の裏に、税収を上回る歳出という恒常的な構造が透けて見えます。
税収のニュースは毎年7月に必ずやってくる「型」のニュースです。来年は「何が増えたか」だけでなく「物価の分を差し引くとどうか」を自分で問うてみてください。