「どの国が好きか」——一見やわらかいこの問いは、国際政治では立派な資源をめぐる話になる。軍事力や経済力とは別に、その国の理念や文化が持つ「引きつける力」を外交の世界ではソフトパワーと呼ぶ。今回のPew調査は、いわばそのソフトパワーの通信簿だ。
まず数字の中身を落ち着いて見たい。46%対36%という差は、20カ国それぞれで人々に「好意的か」を尋ね、割合を集計したもの。世論調査は全員に聞くわけではなく、一部への質問から全体を推し量る。だから数ポイントの上下より、複数の国で同じ向きに動いたという「傾き」に意味がある。
なぜ動いたのか。調査は、関税や同盟国への圧力といった政策が米国の印象を下げ、紛争回避や途上国支援を掲げる姿勢が中国の印象を上げた、と読む。ここで効くのが物語の力だ。同じ行動でも「守るため」と語られるか「押しつけ」と語られるかで、受け取られ方は反転する。実際、米国が上回った国も日本・韓国・インドなど6カ国あり、世界が一色に染まったわけではない。
持ち帰れる読み方はこうだ。国のイメージを伝える調査を見たら、「誰に・いつ聞き、何%動いたか」と「その変化をどんな物語で説明しているか」の二段で読む。好き嫌いの数字の裏には、必ず測り方と語り方がある。