土が、二酸化炭素(CO2)を出す量を左右する——そう聞くと意外に思うかもしれません。新潟大学・北海道大学など複数機関の研究グループが、北海道の森林土壌を使った実験で、極端な乾燥と湿潤を繰り返すほど、土壌からのCO2放出が大きく増えることを明らかにしました。
土の中には、大気中よりもずっと多くの炭素が蓄えられています。この炭素は、金属と有機物が結びつくことで、長らく分解されにくい状態に保たれてきました。ところが実験では、乾燥と湿潤を繰り返すことで、この結合が壊れ、閉じ込められていた炭素が微生物に分解されてCO2として放出されることが分かりました。特に、火山灰の下に埋もれてきた古い腐植層では、その放出量が微生物の量そのものよりもはるかに大きく、これまで想定されていなかった規模だったといいます。
ここで思い出したいのが、結果が原因に戻って作用する「フィードバックループ」という見方です。気候変動が進むと、豪雨と干ばつという両極端な天候が増えます。それが土壌を、これまで経験しなかったほど極端に乾かし、湿らせる。その結果、土から出るCO2が増え、温室効果がさらに強まる——つまり、温暖化が、温暖化そのものを加速させる歯車が、土の中にもう一つ見つかったことになります。
こうした「気候変動が気候変動を増幅する」仕組みは、永久凍土の融解によるメタン放出や、氷が減ることで太陽光の反射が弱まる仕組みなど、いくつも報告されてきました。今回の発見は、私たちが普段目にする「土」という身近な存在にも、同じ構造が潜んでいることを示しています。気候変動のニュースを読むときは、「これは変化を止める仕組みか、変化を強める仕組みか」を問うてみると、報道の裏にある力学が見えてきます。