内閣府の生物多様性に関する世論調査(速報値)で、保全に貢献する行動について「取り組みたいが、行動に移せてはいない」と答えた人が42.7%にのぼりました。すでに取り組んでいる行動は、環境への負荷が少ない商品を買うなど消費での配慮が24.0%、野外活動や動植物園で自然を学ぶが19.9%。「取り組みたいとは思わない」は12.0%でした。
「関心はあるのに動けていない人が多い」という構図は、環境のニュースによく出てきます。ここで「意識が低いのだ」と決めつけると、少し読み違えます。生態系は、生き物どうしのつながりで成り立つシステムで、人間もその一部です。頭では大切だと思っていても、自分の買い物や休日の過ごし方が、そのつながりのどこにどう効いているかは、日常からはとても見えにくい。「何をすればいいか分からない」「効果が実感できない」という壁がありそうだ、と想像できます(これは記事にある説明ではなく、読み方の一つです)。
そこで手がかりになるのが、ナッジの見方です。意識を高める啓発を増やす道のほかに、行動しやすい選択肢を先に用意しておく道があります。たとえば環境に配慮した商品を目立つ場所に置く、といった設計です。人は現状を変えるのが面倒なだけで、意欲がないわけではない場合がある、という前提に立つ考え方です。
もう一つ、数字の読み方にも触れておきます。この調査は回答者の自己申告です。統計の読み方でいえば、「取り組みたい」も「取り組んでいる」も本人の認識であって、実際の行動量ではありません。しかも今回は速報値で、記事から分かるのは割合までです。だから「4割が動けていない」は、意欲と行動のあいだに隔たりがある可能性を示す手がかり、くらいに受け取るのが安全です。
次に環境や健康の世論調査を見かけたら、「意欲」と「行動」を分けて見てみてください。その隔たりが何で生まれているのかを問うだけで、数字の意味がぐっと立体的になります。