ソフトバンクグループの孫正義氏が7月14日の講演で、世界のAIインフラ投資は2040年に年5兆ドル、日本円でおよそ800兆円に達し、AIが世界GDPの2割を占めるとの見通しを語りました。桁が大きすぎて、すごいのか無茶なのか、とっさには判断がつきません。こういう壮大な未来予測こそ、鵜呑みにも一蹴にもせず読む練習の好材料です。
鍵は、数字の大きさではなく「どんな仮定で伸ばしたか」を見ることです。この種の予測はたいてい、指数的な成長——倍々の伸び——を出発点にします。指数的な変化は直感を裏切り、途中まではもっともらしく見えるのに、少し先まで延ばすと爆発的な数字になります。ところが現実の技術普及は、初期こそ急でも、やがて市場が飽和して頭打ちになる。多くはS字カーブを描きます。だから「倍々をそのまま2040年まで延長した」数字は、上振れしている可能性を疑ってかかるのが健全です。
とはいえ「大きすぎるから嘘だ」と切り捨てるのも雑です。イノベーションの伸び方には、事前予想を超えて広がった前例もある。要は、当たる・外れるの二択ではなく、幅として受け止めること。15年先は誰にも点では読めません。
持ち帰れる読み方はシンプルです。壮大な予測を見かけたら、「①どの数字を、②どんな成長率で、③いつまで伸ばした仮定か」の3つに分解してみる。それだけで、圧倒されて信じ込むのでも、反射的に笑い飛ばすのでもなく、その予測が立つ・立たないの分かれ目に自分の目で近づけます。これは為替でも人口でも感染症でも使える、長期予測の共通の読み方です。