ロケットのニュースというと、打ち上げの瞬間や到達した軌道の高さに目が行きがちです。でも文部科学省が2027年度予算の概算要求で示したH3ロケットの強化策は、性能ではなく「頻度」に狙いを定めています。前年度の29億円から約8倍となる235億円を投じ、今は2カ月に1度というペースを最短2週間に縮め、年間の打ち上げ機数を3機から6〜8機へ引き上げることを目指すというものです。
宇宙開発は、かつて国家どうしの威信をかけた競争でしたが、今は民間企業が主役になりつつある時代です。ロケットを「たまに打ち上げる特別な行事」から「必要な時にすぐ使える輸送手段」に変えられるかどうかが、受注を左右する競争力の分かれ目になっています。頻度を上げれば1回あたりの固定費も薄まり、価格でも競える土台ができるという理屈です。
これは、イノベーションと成長で見た、新しい価値はじっとしていては生まれないという構図とも重なります。性能で勝るだけでは不十分で、「求められた時にどれだけ早く応えられるか」という体制そのものに投資しなければ市場に残れない——ロケット開発に限らず、競争が激しい産業のニュースを読むときに使える視点です。