「出生数、11年ぶり増加」という見出しは、思わず明るいニュースとして受け取りたくなります。今年上半期の出生数は34万2068人で、前年同期を0.8%上回りました。上半期の数字が前年を超えるのは2015年以来のことです。
厚生労働省はこの増加の要因を、婚姻数の回復(23万8979人、同0.2%増)に求めています。コロナ禍で先送りされていた結婚が戻り、それに伴って出産も増えた、という説明は自然に聞こえます。けれどここで立ち止まりたいのは、「婚姻が増えたから出生数が増えた」と即座に言い切ってよいかという点です。相関と因果を分けて考えると、両方とも「コロナ禍で先送りされていた選択が、同時に戻ってきた」という共通の背景から動いている可能性があり、片方がもう片方の原因だと断定する根拠にはなりません。
さらに、出生数はこれで5年連続で40万人を下回ったままです。少子化はなぜ起きるのかを分けて考えると、出生数を左右するのは婚姻数だけでなく、そもそも子どもを産める年齢の人口がどれだけいるかという構造要因も大きく効いてきます。若い世代の人口はこれからも減っていく見通しで、今回の0.8%という数字が「反転」の始まりなのか、長期の減少の中のわずかな揺らぎなのかは、あと数年分のデータを見なければ判断できません。
一つの期間の増加を見て「トレンドが変わった」と結論づける前に、その動きが何年続くかを確かめる。統計を読むときの、地味だけれど欠かせない姿勢です。