文部科学省は8月3日、「令和8年度全国学力・学習状況調査」の分析結果を公表した。目を引いたのは、児童生徒への質問紙調査の結果だ。「SNSや動画視聴などの利用時間が長い児童生徒ほど、各教科の正答率が低い傾向」が、今回も確認されたという。
見出しだけを見ると、「SNSをやめさせれば成績が上がる」と早合点したくなる。しかしこの調査結果は、相関(一緒に動く関係)であって、因果(原因と結果の関係)ではない。SNSに長時間触れる生活習慣そのものが原因なのか、それとも家庭の生活リズムや学習への関心といった別の要因が両方に効いているのかは、この調査だけでは切り分けられない。
ここで面白いのは、同じ調査の別の結果だ。「ICT活用に自信がある児童生徒ほど、正答率が高い傾向」も同時に見られた。同じ「デジタル機器に触れる時間」でも、受動的に眺める(SNS・動画視聴)か、能動的に使いこなす(ICT活用)かで、正答率との関係が逆向きに出ている。数字は、比べ方ひとつで見え方が変わる——原因は「デジタル機器」そのものではなく、「どう使うか」にあるのかもしれない、という読み方ができる。
「◯◯な子ほど成績が良い/悪い」という見出しに出会ったら、相関と因果を分けて考える。この一手間が、教育論や健康情報を読むときの、確かな武器になる。