「景気の節目である50を2カ月連続で下回った」——8月31日に発表された中国の製造業PMI(購買担当者景気指数)49.8という数字だけを見ると、そう受け取りたくなります。ですが、この一つの数字の中身を分けて見ると、印象はだいぶ変わります。
PMIは、企業の購買担当者に生産量や新規受注、雇用者数などを聞き取り、複数の項目を合成して作る指数です。50が拡大と縮小の境目で、今回の49.8はその節目をわずかに下回っています。ただし内訳では、生産と新規受注がそろって2カ月ぶりに50を上回りました。前月からの改善分は、主にここから来ています。
一方で、雇用の指数は低迷したままです。企業は受注が戻り始めても、すぐには人を増やしません。先行きへの確信が持てるまで様子を見る企業が多いためで、景気の波を読むという視点で見ると、生産・受注・雇用は同じタイミングで動く波ではなく、それぞれにずれた動きをする波の重なりだと分かります。特に雇用は、他の指標が上向いてから遅れて動く「遅行指標」としての性格が強いとされています。
ここで大切なのは、経済指標とは何かという基本に立ち返ることです。「PMI49.8」という一つの数字は、経済という複雑な現実を単純化した道具にすぎません。見出しの数字だけで「悪化」「改善」と判断せず、その数字がどんな項目から合成されているかを分けて見る——これは中国経済に限らず、あらゆる経済指標を読むときに使える姿勢です。