「消費税が8%から1%に下がる」と聞くと、買い物のたびに値段がそのぶん安くなる場面を思い浮かべます。ところが政府・与党が9月中旬にまとめる税制改正大綱に向けた調整では、店頭での価格表示に特例を設けることまで検討されています。なぜ、税率を決めるだけでは足りないのでしょうか。
鍵は、消費税を「誰が納めるか」と「誰が負担するか」は同じとは限らない、という点にあります。税の仕組みでいえば、消費税を国に納める義務を負うのは商品を売る事業者です。しかし実際にその負担を感じるのは、価格を通じて影響を受ける消費者のほう——というのが制度の建前です。ただし、この「価格を通じて」の部分は自動では保証されません。税率が下がったとき、店がその分をそっくり値下げするか、それとも仕入れコストの上昇分の穴埋めや利益確保に回すかは、需要と供給のバランスや競争の強さによって変わってくるのです。
だからこそ今回、政府は税率を決めるだけでなく、引き下げ分がきちんと店頭価格に反映されているかを確かめる仕組みまで議論しています。裏を返せば、放っておけば減税分が消費者の手元に届かず、途中のどこかに吸収されてしまう可能性があるからこそ、あえて手当てをしているとも読めます。
持ち帰れる読み方はこうです。「減税」のニュースを見たら、税率の数字だけでなく「その分は本当に自分の手元まで届くのか、それとも途中で誰かに吸収されるのか」を問う癖をつけてみてください。税は制度上の宛先と、実際に効く相手が、いつも一致するとは限らないのです。