米国のベセント財務長官と中国の何立峰副首相が9月20日、ニューヨークで会談しました。24日にワシントンで予定される米中首脳会談を前に、人工知能(AI)の安全性や貿易問題について、両国の立場をすり合わせる場です。
貿易面での最大の焦点は、昨年10月の首脳会談で合意した1年間の関税「休戦」の扱いでした。11月に期限を迎えるこの休戦を、どこまで延長するかが話し合われています。
そもそも、なぜ米中は関税を高く積み上げ合う「貿易戦争」を避けたいのでしょうか。比較優位という考え方に立つと、国同士がそれぞれ得意な分野に集中して貿易すれば、双方が今より豊かになれます。逆に高関税をかけ合えば、この分業の利益はそのぶん目減りします。米中がたびたび「休戦」という形で高関税の応酬を止めようとするのは、根深い対立を抱えながらも、この利益をまるごと手放すのは双方にとって割に合わないからです。
一方で、今回はAIの安全性も同じテーブルで議論されました。中国が主流とする「オープン型」のAI開発と、米国企業が中心の「クローズ型」の両方が話題に上ったといいます。経済では関税を通じて深く結びついていながら、先端技術の分野では互いを警戒する——これは貿易がもたらす相互依存が、利益と同時に依存のリスクや緊張も抱え込むという構造の表れです。関税と技術という性質の異なる二つの土俵をにらみながら交渉する姿に、米中関係の今が映し出されています。