パン1斤の値段は、日本の畑ではなく、遠い国の空模様で動くことがあります。農林水産省は2026年9月9日、10月からの輸入小麦の政府売り渡し価格を、直近半年に比べて12%高い1トンあたり7万20円にすると発表しました。2期連続の値上げで、2023年4〜9月期以来、約3年半ぶりの高値水準です。
日本は食用小麦の約8割を輸入に頼っており、政府がまとめて買い付けて製粉会社に売り渡す仕組みを取っています。今回の値上げの主因は、需要と供給の乱れです。世界有数の輸出国である米国で干ばつによる不作が起き、ロシアとウクライナの衝突激化で供給不安が再燃したことで、小麦の国際指標であるシカゴ先物価格は1年前より4割以上も高い水準にあります。畑が離れていても、輸出国の不作は世界中の買い手に価格として伝わります。
もう一つの要因が円安です。国際価格が同じでも、円の価値が下がれば、同じ量のドル建ての小麦を買うのに、より多くの円が必要になります。海外の天候という「量」の問題と、為替という「値段のものさし」の問題が、同時に重なって今回の値上げ幅になりました。
小麦粉の卸値にこの上昇分が転嫁されれば、パンや麺類の値段にもじわりと表れてくるはずです。値上げのニュースを見たら、「量が足りないのか」「ものさしが変わったのか」を分けて考えてみると、原因がクリアに見えてきます。