小惑星探査機「はやぶさ2」が持ち帰った小惑星リュウグウの試料から、驚くべき数字が導き出されました。北海道大学などの研究チームが2026年9月11日に発表したのは、リュウグウの元になった天体(母天体)が、太陽系が誕生してからわずか200万年以内、少なくとも45億6530万年前に生まれたという推定です。これまで知られていた隕石の母天体よりも古く、太陽系ができたばかりの「最初期世代」の痕跡が残っている可能性があるといいます。
太陽系は、太陽を中心に惑星や小惑星が重力で結びついた「ご近所」ですが、その全体がいつ・どんな順番でできたのかは、まだ多くの謎に包まれています。リュウグウのような小惑星は、惑星のように地質活動で表面が塗り替えられることが少なく、誕生当初の物質を比較的そのまま留めていると考えられています。だからこそ、その母天体がいつできたかを知ることは、太陽系そのものの「生まれたて」の姿を知る手がかりになるのです。
ここで気になるのが、45億年以上前の出来事を、どうやって「200万年以内」という精度で言い当てられるのか、という点です。誰も現場を見ていた人はいません。研究チームがとった方法は、観察・仮説・検証という科学の手続きそのものでした。試料に含まれる鉱物ができた年代と、当時の温度を測定し、さらに母天体内部で温度がどう変化していったかをシミュレーションで再現する。そうして「この鉱物ができるには、これくらいの時期・条件が必要だ」という条件を絞り込んでいったのです。
直接見ることのできない過去を、物質に刻まれた痕跡から逆算する——これは、宣言ではなく検証にもとづく主張だからこそ、後から新しい試料や測定法によって数字が更新される余地も持っています。今回の「45億6530万年前」も、確定した最終回答というより、現時点で最も筋の通った推定なのです。
宇宙の年代を扱うニュースを見たら、「どうやってその数字にたどり着いたのか」という測定と検証のプロセスに目を向けてみてください。壮大な数字の裏には、地道な逆算の積み重ねがあります。