日本人の人口が、42年ぶりに1億2000万人を割りました。1億1973万人。前の年から約91万人減り、17年連続の減少で、減った数も割合も調査を始めて以来いちばん大きい。数字だけでも十分に重いのですが、人口ニュースには、ほかの分野にはない特別な読み方があります。人口は「未来を最も確実に映す鏡」だ、という見方です。
なぜ確実なのか。人口は急には変わらないからです。仮に今日から生まれる子どもが増えたとしても、その子たちが働き手になるのは20年後。逆に、いま社会を支えている世代が高齢になっていくことも、すでに生まれた人の数から分かっています。景気や株価と違って、人口は数十年先まで輪郭が読める——だからこそ、今日の「1億2000万人割れ」は突然の異変ではなく、何十年も前から見えていた坂道の、通過点なのです。
ただし、一つの数字で驚いて終わると、大事な中身を見落とします。同じ発表のなかで、三つの流れが同時に動いていました。一つは人口減少そのもの。二つめは地域の偏りで、増えたのは東京都だけ、残る46道府県はすべて減りました——減りながら都市に集まる「一極集中」です。三つめが、初めて400万人を超えた外国人(人の移動)の存在です。
ここで誤解をほどいておきます。「外国人が増えているなら、人口減は止まるのでは」と思えますが、そう単純ではありません。外国人は増えて過去最多になったとはいえ全体の3%あまり、増えた35万人ほどでは、日本人の91万人減を埋めきれていない。だから総数は減り続けています。減少・都市集中・高齢化が重なって進むのが、いまの日本の人口の姿です。
持ち帰れる読み方はこうです。人口のニュースを見たら、一つの合計で驚く前に、「日本人・外国人・地域」の三つの流れに分けて読む。そして、人口はいちばん予測の当たりやすい分野だと思い出す。今日の数字は、遠い未来の社会がどんな形になるかを、いちばん正直に教えてくれる鏡なのです。