「キオクシアが純利益46倍、過去最高」——こういう見出しは、つい「すごい」で通り過ぎてしまいます。でも一歩立ち止まると、面白い問いが出てきます。なぜ、TSMCもサムスンもキオクシアも、同じ四半期にそろって過去最高益なのでしょう。
答えの半分は需要と供給にあります。生成AIのデータセンターが世界中で建ち、そこで使う半導体——とりわけメモリ——が足りない。足りないものは値が上がり、作る側の利益は跳ね上がります。46倍という数字は、企業が急に賢くなったからではなく、需要が供給を追い越したことの表れです。
もう半分は景気の波です。半導体は昔から「シリコンサイクル」と呼ばれる、好況と不況を繰り返す産業の代表格。需要が過熱すると各社がこぞって増産し、やがて供給が需要を追い越して価格が崩れる——この循環を何度もたどってきました。だから「過去最高益」は、勢いの証しであると同時に、頂点が近いことの合図でもある、という読み方ができます。
ここで持ち帰れる見方を一つ。好決算のニュースを見たら、「なぜ今そんなに儲かるのか」を需要と供給で分解し、「この好況は循環のどのあたりか」を波の上で考えてみる。数字の大きさそのものより、その数字を生んでいる力の向きが見えてきます。