「デフレ懸念」という見出しは、一つの数字だけでは受け取れません。物価には種類の違う物価指数がいくつもあり、それぞれ別の顔を映すからです。中国の7月のCPI(消費者物価指数)は前年より0.5%の上昇。プラスではありますが、6月の1.0%から伸びが鈍り、前月比では0.1%のマイナスでした。
ここで指数を重ねて読みます。まず総合CPI(+0.5%)とコアCPI(+0.9%)の差。コアは値動きの激しい食品・エネルギーを除いた指標で、食品が前年より1.5%下がったぶん、総合が押し下げられていると分かります。次にCPI(川下=消費者が払う値段)とPPI(川上=工場出荷の値段、+3.5%)。川上の伸びも6月の4.1%から鈍っており、値上げの勢いが供給側から弱まっている姿が見えます。
なぜ「デフレ懸念」なのか。物価が持続的に下がると、消費や投資が「もっと安くなる」と後ろ倒しになり、需要がさらに冷える——この悪循環が警戒されます。だから中央銀行は緩和的な金融政策に動く、という観測が出てきます。
持ち帰れる読み方はこうです。物価ニュースは「上がった/下がった」の一語で終わらせず、(1)総合とコアの差で何が数字を動かしたか、(2)前年比と前月比で勢いの向き、(3)CPIとPPIで川下と川上——この重ね読みで受け取る。数字が一つでも、物価の体温は指数の組で測れます。