夏のボーナスが、初めて平均100万円を超えた。数字だけ見ると「景気がいいんだな」で終わりそうだが、内訳を開くと別の話が見えてくる。全体を強く押し上げたのは、建設や非鉄といった特定の業種だ。鹿島は270万円で首位。なぜ、この顔ぶれなのか。
鍵は、賃金もまた一つの「値段」だという見方にある。労働市場では、働き手という商品の値段が、人を雇いたい企業(需要)と、働きたい人(供給)のバランスで決まる。建設はいま、大型再開発や万博関連の工事で需要が強い一方、担い手は足りない。つまり売り手市場だ。
ここで効くのが需要と供給という土台の考え方だ。あるものが足りなくなれば、その値段は上がる。野菜でも部屋でも、そして人手でも理屈は同じ。人が足りない業種は、待遇を上げてでも奪い合う——ボーナスの高さは、会社の気前の良さというより「その仕事がどれだけ足りていないか」を映している。
持ち帰れる読み方はこうだ。賃上げのニュースを見たら、「なぜこの業種が上がったのか」を需給で問い、さらに上がった額を物価で割り引いて実質でも眺めてみる。額の大きさに驚く前に、「誰が足りないのか」を探すと、数字の裏の労働市場が立ち上がってきます。